代表メッセージ

1 趣旨

不登校、引きこもり、ニート等、社会的自立に躓く若者の数は、少子化が進む昨今にあっても一向に減少の兆しが見られない。自立に躓いた若者の多くは、自力でその状況を脱出する事が難しく、彼らの将来は経済的にも精神的にも極めて不安定であり、そのまま生活困窮者に陥るケースが頻発している。彼らを放置する事は、将来の生活保護受給者の増加と同義であり、その結果、近い将来において社会保障費の爆発的増加によって国及び各自治体に深刻且つ甚大な財政負担をもたらす事は明白である。また貧困、困窮者の増加は青少年の非行増加、引きこもりの長期化は家庭内暴力などの事件へと繋がり、時に親族間等の殺人、傷害事件に代表される犯罪にも発展する可能性が高く、治安の悪化や社会不安を招く恐れもある。

しかし、彼らに出来る限り早い(若い)段階から就労や社会参加の為のトレーニングを施せば、やがては通常の社会人、納税者になる事が出来る。我が国には長年に亘り若者自立支援において目覚ましい実績を残してきた民間の支援者が少なからず存在している。彼らの持つ自立支援に関するノウハウと知識と経験をさらに有効且つサスティナブルに活用すべく積極的に発展させる事で、社会保障の仕組みに依存して生きるはずだった者が、納税者として国民の義務を果たし社会を支える一員へと立場を変える事が出来るのである。これは国家財政、地方自治体の財政にとって決して軽視すべき問題ではない。そして数ある若者自立支援の形態の中でも、共同生活型の自立支援は極めて有効な手段の一つであり、その効果と成果と確実性の高さは多数の民間団体による30年以上に亘る継続した活動によって既に実証済みでもある。

以上のことに鑑み、私たち設立発起人、全国各地の共同生活型自立支援施設経営者、及びその活動に賛同する一般関係者有志は、ここに「特定非営利活動法人全国宿泊型自立支援施設協議会」を設立することに同意した。不登校や引きこもり、ニートなど社会参加できない青少年の問題は日本の将来を左右する重要な問題である。次世代を担う多くの青少年が、社会に出られず家に引きこもったまま悶々と日々を過ごしている現実に対して、社会が無為無策で放置しているのは道義的にも、また社会的、経済的損失の観点からも到底許されるものではない。この法人が設立された暁には、全国から多数の会員、賛助会員がこの趣旨に賛同され、引きこもりやニートなどの自立支援において極めて有効な手段の一つである共同生活型自立支援が、今後の日本社会にとって必要不可欠な存在であることを広く認知させるとともに、特定の利用者のみでなく情報弱者や経済的弱者なども含めた多くの日本の将来を担うべき若者が利用できるよう環境を改善し、尚且つ各施設の経営基盤や組織体制の強化と安定化を進め、今後恒久的に自立支援、就労支援を継続することが可能となるよう仕組みを構築し、これをもって社会全体に対し、ひいては日本の将来に対して多大なる貢献ができると確信するものである。

2 申請に至るまでの経過

平成28年3月14日 有志により特定非営利活動法人申請を決定。設立準備委員会発足
平成28年6月13日 第1回設立準備委員会
平成28年7月20日 第2回設立準備委員会
平成28年9月5日 第3回設立準備委員会
平成28年10月17日 法人設立社員総会